ブックタイトルほんもののたたみ | 畳屋道場

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概要

畳屋道場は「ほんもののたたみ」をお届けします。

23鏡私たち畳屋は、ずっとお客さんの方を向いてこなかった、まずこれが一番の反省点です。畳の良しあしや産地について畳屋自身が知らな過ぎましたし、消費者に伝えることもできずにいました。い草や畳表のことは全部問屋任せ。畳製造業でありながら、い草の産地に出向くこともなければ生産者と出会うこともないまま、「需要が減った」「価格競争が激しくてもうからない」と嘆いてばかりいた。気がついたら畳表の8割が中国産に取って代わられ、い草農家も激減していました。「このままでは国産のい草を使った高品質な畳が作れなくなる」という危機感を抱き、畳屋とい草農家が連携して、国産にこだわった品質の高い畳をお客さまにお届けしようと思ったのが「畳屋道場」設立の動機でした。小山国産の畳と中国産ではそんなに品質が違うものですか?下永全く違います。国産の良質ない草と高い織の技術力で作られた畳表は、10年持ちます。しかも経年変化で味が出ます。橋口い草の芯はスポンジ状になっていて、国産は密度が高く弾力がありますが、中国産はすかすか。しかも劣化が早く、青い畳がすぐに茶色に変色し、畳表がむけてきます。ただし価格だけは安く、国産の半値以下です。下永肝心の畳屋さんが畳の良しあしが分からないまま、価格競争に巻き込まれていたんです。この状態が続けば、畳屋さんはつぶれてしまいます。鏡問屋が畳屋に畳表を収めるときは原産国表示をしなくていいのですが、国産とされている半分以上は中国産といわれています。産地偽装はあってはならないことですが、それを見抜けなかったわれわれ畳屋にも責任がある。こうした反省から、私は国産のい草の9割以上を産出する熊本県八代市の生産農家に通いながら、い草の品種や畳表の織り方、その年の作柄などを知るように努めてきました。小山い草って、年によって作柄に違いがあるんですか?下永い草も農産物ですから、その年の気象で違いますね。小山年によって出来不出来があるという意味では、ワインと同じですね。畳もどうでしょう、い草の収穫年を表示してみては。ワインのように出来具合をビンテージ・チャートにしたり、「これは100年に一度の当たり年のい草を使ったビンテージ畳です」といったことが言えるようになれば、消費者はちょっと高くても納得して、「買おうかな」という気になるはずです。い草は農産物で、ブドウのように収穫年によって違いあることを毎年発表していけば、畳に対するイメージが変わると思います。谷川い草を買ってくれる産地問屋さんには、その年のい草の出来具合や特徴など、品質情報を提供しています。ただ、畳屋さんや消費者にまでは伝わっていません。「何年産」といった表示方法であれば、お客さまにも分かりやすいですし、話題にしやすいですね。小山畳を見て、「何年物ですか?」なんて会話ができたらいいですね。谷川各地の畳屋さんを訪ね歩いていますが、「10年前のこの畳表はよかった」と言っていた方もいました。同様に目の肥えた消費者もいらっしゃいます。目利きの畳屋さんや消費者が増えるようにしていくことが大切だと思います。小山一目見て国産と分かるよう赤く染めたい草が1本入っているとか、そういう工夫があってもいいかもしれません。橋口われわれ生産者は国産のい草の良さや生かし方について、明らかに宣伝不足、研究不足でした。小山ここにある畳表はいい香りがします。手触りも素晴らしい。畳はもっといろんなものに使えそうです。素材としての広がりを感じさせます。僕が月に一度通っているお寿司屋さんは畳がテーブルになっています。「例えばこういう使い方もある」とデザイナーや建築家が提案していけば、畳屋さんも刺激を受けるはずです。お互いにアイデアを出し合える関係を築くことで、新しい発想も生まれるのではないでしょうか。鏡国産畳表の特徴を生かし、消費者に評価されるような商品の開発、生産、販売の仕組みを、農商工連携によって構築していきたいと思っています。小山先生、本日は大変貴重なアドバイスをいただき、ありがとうございました。小山薫堂1964年、熊本県生まれ。大学在学中に放送作家デビュー。ゆるキャラグランプリ2011年王者「くまモン」をプロデュースしたことでも知られる。脚本を手がけた映画「おくりびと」は米アカデミー外国語映画賞を受賞。現在は「小山薫堂東京会議」(BSフジ)などを担当。東北芸術工科大学企画構想学科長、同大教授。